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AI音楽生成サービスは、数十秒で「それらしい曲」を出してくれます。聴いた瞬間は完成品に聞こえます。ですが、そのまま公開していいかは別の話でした。
私はAI生成のBGMをYouTube用に量産する過程で、機械による音声検品を組み込みました。158サンプルを測った結果が、PASS 12・WARN 136・FAIL 10。合格したのは全体の7.6%だけです。
この記事は、その158件の実測値と、何がどう引っかかったかの記録です。
この記事でわかること
- AI生成音源158サンプルの検品結果(実数)
- いちばん多かった欠陥と、それが致命的な理由
- 耳で聴いても気づけない3つの数値
- 自分で直すか、人に頼むかの判断基準
検品結果:合格は158件中12件でした
| 判定 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| PASS(問題なし) | 12 | 7.6% |
| WARN(要確認) | 136 | 86.1% |
| FAIL(そのままでは出せない) | 10 | 6.3% |
内訳は、検品にかけた音源プール140本と、それを2時間分に組み立てた動画18本です。プール140本のうち不合格(FAIL)が出なかった130本を、実際の制作に使っています。130本には「要確認(WARN)」のものも含むため、後述の「無条件で合格した12本」とは別の数字です。いずれも中間3分を切り出して自動測定しました。測っている項目は、ピーク音量、ステレオの相関、無音区間、クリッピング、直流オフセット、有声音の比率、音程の揺れ幅など。すでに一度ふるいにかけたあとの音源である点は、数字を読むうえで割り引いてください。
検出された欠陥ワースト(実数)
| 欠陥 | 件数 |
|---|---|
| ボーカル/リードの混入疑い | 138 |
| 末尾がブツ切り | 14 |
| ピークが -0.2dBFS 以上(歪みやすい) | 15 |
| 曲の途中に1.6〜2.4秒の無音(FAIL) | 10 |
① ボーカル/リードの混入(138件・最多)
作業用BGMとして「歌なし・リードなし」を指定して生成しているのに、有声音の比率が高く、音程が大きく揺れている区間が検出されたケースです。指標としては、有声音比率0.65、音程の標準偏差6.4半音といった値が出ていました。
これが最も多く、かつ作業用BGMとしては致命的です。歌やメロディの主張が強い音は、聴いている人の注意を引いてしまう。集中のために流しているのに集中が切れる、という本末転倒が起きます。
やっかいなのは、数十秒だけ聴いても気づけないことです。2時間の曲のうち、中盤の数分だけリードが立ち上がっている、という形で混ざります。
② 末尾がブツ切り(14件)
曲の終わりが減衰せず、音が鳴っている途中で切れているものです。ループ再生や連結をすると、切れ目で「プツッ」という違和感が出ます。
③ ピークが 0dBFS に近い(15件)
実測でピーク音量の中央値は -0.40dBFS。最大は +0.30dBFS で、これはすでに振り切っています。この状態のまま配信サービスやYouTubeの音量正規化を通すと、圧縮の過程で歪みが乗ることがあります。
④ 曲の途中に1.6〜2.4秒の無音(FAIL 10件)
これは一発で不合格にしています。2時間流しっぱなしにする曲の途中で最大2.4秒の無音が入ると、聴いている人は「止まった」と思って画面を確認します。そこで離脱します。
この欠陥は、複数の音源をつなぐ処理をしたときに境界で発生していました。原因が分かったので、つなぎ目をクロスフェードにして解消しています。
耳では気づけない3つの数値
実際に測ってみて、「聴いた印象」と「数値」がずれる項目が3つありました。
- ステレオ相関——中央値0.723、最小0.349。値が低いほど左右の音が別物になっており、モノラル再生時に音が痩せたり消えたりします。スマホのスピーカーは実質モノラルです
- トゥルーピーク——波形上のピークではなく、実際にスピーカーが再現する瞬間最大値。ここが0を超えていても、耳では「大きい」としか感じません
- 直流オフセット——波形の中心のずれ。音としては聞こえませんが、音量を上げられる余地を無駄に削ります
この3つは、聴いて判断できません。測るか、測れる人に見てもらうかの二択です。
YouTubeに出すなら -14 LUFS を基準にする
YouTubeは再生時に音量を正規化します。私は書き出しの段階で-14 LUFS に合わせる処理を入れています。ここを揃えておかないと、自分の動画だけ小さく(あるいは歪んで)再生されます。
AI生成サービスの出力は、この基準に合っている保証がありません。「生成して、ダウンロードして、そのままアップロード」の間に、最低でも音量の正規化は挟むべきだというのが、158件測ったあとの結論です。
自分で直すか、人に頼むか
ここまでの4つの欠陥のうち、末尾のブツ切り・ピーク・無音の3つは、自分で直せます。無料のツールで書き出し直せば済む話です。
問題は①のボーカル/リード混入(138件・最多)です。これは書き出し設定では直りません。生成しなおすか、編曲の段階で手を入れるかになります。
私はまだ生成しなおす方で対応していますが、当たりが出るまで回数を重ねる方式なので、時間がかかります。ここを人に任せる選択肢もあります。
作った曲をプロの編曲チームに仕上げてもらうサービスがあり、無料のオンライン相談から始められます。私自身はまだ利用していないので、体験談としては書けません。ただ「AIで作ったが、この音のまま世に出していいのか自分では判断がつかない」という段階なら、相談だけでも基準は手に入るはずです。
音が整ったら、出口を決める
検品を通った曲は、置き場所を決める段階に入ります。ストリーミング配信に乗せるなら配信代行サービスが要ります。私は DistroKid を使っています。
※ 紹介リンクです。ご登録があった場合、当サイトに紹介料が入ります。
まとめ
- AI生成音源158サンプルのうち、無条件で合格したのは12件(7.6%)
- 最多の欠陥はボーカル/リードの混入(138件)。作業用BGMとしては致命的で、しかも短く聴いただけでは気づけない
- ステレオ相関・トゥルーピーク・直流オフセットの3つは耳で判断できない
- YouTubeに出すなら書き出し時点で-14 LUFSに揃える
- 末尾・ピーク・無音は自分で直せる。リード混入だけは作り直しか、人の手が要る
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